『生物の「種」って何ですか?』 中学一年生から出た、簡単なようで非常に難しい質問です。
生き物には種類がある。生物の種類、理科的に言えば「種(しゅ)」。イヌやネコ、チューリップにタンポポ。それぞれ別々の種です。実はその区別はとても難しいのですが、なかなかピンときませんね。
イリオモテヤマネコと、身の回りにいるネコは同じ種でしょうか。違うでしょうか。シャム猫とペルシャ猫では? パッと見似たようでも違う種だったり、まるで見た目が違っても同じ種だったり。
ウマとロバで考えてみます。それぞれ別の「種」ですが、とても近い仲間のため、雄のロバと雌のウマの間には、ラバという雑種の子が産まれます。ではロバとラバは同じ「種」でしょうか? 違うでしょうか? ラバからは、通常、子は産まれません。子孫が残せないなら、それは別の「種」と考えてよさそうです。
そのようなことから考え、自然の状態で子孫を残せれば「同じ種」とし、そうでないなら「違う種」とする考え方が一般的です。そのように決めた(定義した)わけですね。しかし違う考え方もあります。『種の定義は、生物学者の数だけある』などという言い方もあるほどです。
一般の人が「そんなの分かりきっていること」だと思っていることも、厳密に考えて定義しようとすると難しいものがある。それが理科の面倒だけどおもしろいところなのかもしれません。
なお植物の「タネ」のことは、理科では「種子」と書きます。「種(しゅ)」と書いたときには、その種類のことを表します。区別していきましょう。なお生物の種を表すとき、科学の世界ではカタカナで種名を書きます。
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