【紹介】図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか? 須黒達巳 著(ベレ出版)

10年に一度レベルで「オススメしたい!」と思える本でした。読み始めて一気に読了。

私は高校時代、生物部に入っていました。
それまで野外の生物観察などしたことなどほとんどありませんでした。化学、又は物理系の理科系の部活に入りたいと思っていたものの、あいにく進学した高校になかったために入った生物部でした。

その生物部では、野外活動の時には植物班、昆虫班に分かれて活動していました。そして私は昆虫班に入り、まずはチョウの分類などから教えてもらいました。
まずは大ざっぱにアゲハチョウ、ヒョウモンチョウ、ジャノメチョウ、シロチョウ、シジミチョウ等々を知り、図鑑を見ての絵合わせで調べるところから。別に特に好きでも嫌いでもなかったのですが、わかってくると、普段の道ばたでも「今まで見えていなかったものが見えてくる」おもしろさを味わいました。

この本は、まさにそのおもしろさを、書面で味わえる本でした。
ハエトリグモが専門の著者ですが、そうしたマニアックなものだけでなく、カやウグイス、シダなど、より身近な生物で「同定」のエッセンスを伝えてくれます。
それどころか、明朝体を使った話まで! ネタバレになりますが、次の図の中で1つだけ違う種類の明朝体が使われています。どれだかわかりますか? 「見る目」を持っていると一目でわかるけれど、目を持っていないとなかなかわかりにくい。そんな例としてとてもおもしろく読ませていただきました。(ちなみに最後の字だけが違います)

理科の教員でも専門が違うと、なかなか視点がわからない部分もあるかと思います。
生物系(フィールド)の人の自然・物事のとらえ方を知ってもらうにも好著だと感じました。

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