プリント式ノートとは

~習慣づけでき、手間も少なく評価もできる~

<ノート指導の“困った”>

★生徒が書き写すのに時間がかかる
 ⇒書くことよりも、理科そのものの内容に授業時間を使いたい。
★プリント等の整理に時間がかかったり、それらが苦手な生徒もいる
 ⇒資料を印刷し糊でノートへ貼りつけするのに時間が取られたり、バラの副教材の整理・保管に手間がかかる。さらにそれらが苦手な生徒も。
★副教材の「理科ノート」は帯に短し、たすきに長し
 ⇒一時間で見開きページ分の授業が進められなかったり、計算練習が不足していたりといった場面もある。

理科の学習記録には、大学ノートや専用の副教材ノートなどのやり方があります。しかし上記のような問題点がありました。私は試行錯誤の結果、「プリント式ノート」で授業を行っています。毎時授業で使うプリントを配布し、ファイリングしてノートにする、というやり方です。そのため授業の中ではプリントのことを「ノート」と呼んでいます。毎回、次のような定型のフォーマットで作成しています。

<プリント式ノートの授業の流れ>

0 前時のうちに「ノート」を配布しておき、教科書を見れば埋められるような項目を宿題として課し、簡易的な反転学習に。(見本1にはありません。見本2に載っています。)

1 授業の初めに「本時のねらい」説明や宿題答え合わせなどをしながら授業導入。
2 学力の高くない生徒が多い時には穴埋めを多くしたり、自学能力の高い生徒が多い時には「図と文で○○をまとめる」などのスペースを多くとるなど生徒の実態に応じた構成の「ノート」で授業を行う。
3 まとめは本時の振り返りを自由記述させ、回収。

授業後
4 「よく書けた」「あと一歩」「しっかり書こう」の3段階で評価、必要に応じてコメントも記入。次時に生徒に返却し、ファイルにはさませる。

<プリント式ノートで出来たこと>
①授業の導入の工夫
 学力の低い生徒は、自己肯定感が低い場合が多いです。「どうせやっても分からないから」と最初から取り組まず、さらにできなくなっていく悪循環を繰り返している場合も見られます。「自分の力でもできた」という達成実感を持たせたいと考えました。そこで見本2のような宿題(反転学習)に取り組みました。「ノート」の初めの部分に、教科書の本文をベースに重要語句を穴埋めするような宿題を設けました。そして授業の導入も兼ねて記入内容の確認を行いました。
②毎時のノート評価
 校務も多忙化した中で、冊子になったノートを毎時評価するのは難しいです。一枚の紙なら、毎回授業終了時に集め、次時に返却することができます。事前に3段階評価を印刷しておき、押印1つで評価できるようにしました。コメントは特別な質問が出たときや余裕があるときのみと割り切りました。次項の③と合わせ、指導と評価の一体化を無理なく行えるようにできました。
③質問、疑問への個別対応
 授業中や授業後に質問してくる生徒は、現実的には限られています。皆の前で発言するのには勇気が必要で、授業後も「こんな事、わざわざ聞くのも」と尻込みする生徒もいるでしょう。そうしたハードルを低くし、生徒のふとした質問や疑問を拾えるよう、「まとめ」欄に質問を書くことのできる欄も設けました。今までには「細胞分裂に限界はあるのか」「なぜ原子記号なんて面倒なものつくったか」「細胞分裂の時には原子は増えないのか」「なぜ月の裏側が見えないように丁度の周期になっているか」等がありました。本WEBの「中学生の疑問」も、それらの中からセレクトしたものが多くあります。想定していた疑問もあれば、全くの想定外のものもありました。中には「理科の内申点あげるには、どうしたらよいか」というような、生徒にとって切実(?)な内容も見られました。ただ1つ1つ全部にコメントするのは大変です。よい質問が多数の生徒から出た時には、次時の導入で「前回のノートでこんな質問が多くでました。」と言って授業でフィードバックしています。

 毎回、新しい「ノート」を準備するのは慣れるまでは大変かもしれません。一度教えて元となる「ノート」がある単元があれば、一回分の「ノート」は10~15分程度で作成できるようになりました。評価とコメントは、一番時間と労力が必要な部分です。丁寧にやればやるほど時間がかかります。それでも生徒のユニークな質問などを読んでいると愉しく、また指導において足りなかった事に気がつかされます。記入やファイリングが多くの生徒に定着してきたら、毎回の提出は求めなくてもよいでしょう。適度に力を抜き、楽しみながら継続できるのが大切です。

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