ノースポールの花

キク科クリサンテムム属 Chrysanthemum paludosum

 春本番の頃に花壇をにぎわすノースポール。春菊とも近い仲間(同じ属)です。どちらも地中海原産の植物です。ちなみにシュンギクは、日本の他、中国などでも食用として栽培されるそうですが、ヨーロッパでは観賞用です。

一つの”花”を見てみましょう。マーガレットやハルジオンなどに似た感じがしませんか? それもそのはず、同じキク科の植物です。中央部を拡大します。また、半分に切ってみます。さきほど、一つの”花”と書きましたが、実はこれはたくさんの小さな花が集まった集合花です。例えば、白い花びらに見える物、”花”の中央の黄色いブツブツ一つ一つが、本当の花なのです。これらの本当の花のことを、特別に小花と呼ぶこともあります。ノースポールの場合、二種類の小花があります。一つが、白いひらひらした花びらを持つ舌状花(ぜつじょうか)。もう一つが、黄色い筒のような花びらを持つ、筒状花(とうじょうか)。舌状花の白い部分、筒状花の黄色い部分こそ、本当の意味での花びらです。では、最初は舌状花に注目して見ていきましょう。
白い花びらの根本を見ると、雌しべのような物が見られます。しかし、雄しべらしき物は見あたりません。もしここで、この雌しべが受粉の後に、本当にタネを作ることが出来れば、これは雌性の花ということになります。しかし、どうも受粉をしても、その後タネを作ることが出来なさそうです。そうすると、雄しべも雌しべも不完全ということで、中性花ということになります。
筒状花に注目してみましょう。根元の膨らんだ部分が子房、黄色い部分が花びらです。切り開くと、中に雄しべや雌しべがあります。まずは正面から見てみましょう。花びらの間から、二手に分かれた雌しべの先端(柱頭)がのぞいていますね。
花びらを全部取り除いてみました。先端部分を拡大すると、雄しべと雌しべがはっきりします。雌しべの根元には、子房があります。花粉は、写真のようになっています。筒状花の方は、雄しべも雌しべも完全な、両性花です。

いろいろなノースポールを見ていたところ、変な花を見かけました。上でも見た、通常のノースポールと比べてみると、違いが分かりますね。本来なら、ひらひらした舌状花のはずの白い小花が、筒状花になってしまっているのです!一部分だけ取り出してみると、それがよく分かります。本来なら、一番外周の小花は、なんで筒状花になってしまったのでしょう??
白い筒状花を分解してみました。通常の筒状花と同じ構造がありました。拡大すると、その事がよくわかります。
私が見たこのノースポールからできた種子で育ったものが、翌年は普通の花を咲かせていました。一時的な変異だったようです。ただこの変異を固定した品種もあるそうです。

そしてさらに変わった変異を見つけました!
2つ分くらいの「花」がくっついてしまったような形をしていました。ここまでくると、奇形とでもいいたくなるような形ですね。ノースポールは、変異が起こりやすいのかも知れません。

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