硫化水素が発生する実験を安全に行う

硫化水素の検出には、酢酸鉛紙が使えます。中学校でこの実験を行うときにおすすめです。試験紙1巻、約3000円と安価なのもよいです。アズワン等で販売していますので、出入りの教材屋さんに注文が可能かと思います。

厚労省資料によると、許容濃度は10ppm、不快臭は5ppm程度ということになっています※1。 また腐卵臭として感じるのは、0.0005 ppmからのようです※2。この酢酸鉛紙は、5ppmから硫化水素を検出することになっています。反応前は、上写真左側のように白色です。硫化鉄に希塩酸を滴下した試験管の口にこの試験紙を(水に濡らさずそのまま)近づけたところ、右のように茶色く変色しました。

各班に試験紙を切って置いておいて変色してきたら厳重に注意する目安にしたり、また匂いに敏感な生徒には硫化水素の確認をこの試験紙で代替させてもよいかと思います。

上の写真は、硫化鉄の入った試験管に希塩酸を垂らした試験管の口に酢酸鉛紙を近づけたところです。なお鉄と硫黄を入れて加熱して化合させた試験管(もうもうと黄色い煙が出ているもの)や、鉄と硫黄の混合物に希塩酸を加えて発生させた気体(水素)などでは変化しませんでした。

安全に行うには、上の写真のように開放した状態で確認するのでなく、シャーレ内で行うと良いでしょう。

上の写真内左側は鉄粉と硫黄の混合物に2%塩酸を1滴垂らしたもの、右側は硫化鉄に同じく2%塩酸を1滴垂らしたものです。白い紙が酢酸鉛紙。この状態は塩酸を滴下し、シャーレに蓋をしてすぐのものです。それが5分後には、以下のようになります。

5分後。違いがはっきりわかります。10分後が下の写真。

こう見てみると、混合物の方の試験紙も少しずつ変色が見られます。混合物の状態でも少しずつ鉄と硫黄の化合が進み、それにともなって硫化水素も発生しているのでしょうか。

ちなみに一時間後だとこのようになります。


※1:厚労省「なくそう酸素欠乏症・硫化水素中毒」https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/040325-3a.pdf
※2:日本薬学会 環境・衛生学トピックスhttps://bukai.pharm.or.jp/bukai_kanei/topics/topics53.html

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